2017年3月2日木曜日

【研究室紹介】文学部日本思想史研究室 ~野心的に冒険する研究を~

 本学文学部の日本思想史研究室は、日本で唯一「日本思想史」の名前を冠した研究室だ。同研究室の佐藤弘夫教授は「本格的に日本の思想を勉強したいと思うなら、東北大の日本思想史研究室に来てほしい」と話す。




 常時、五、六十人の学部生と大学院生が所属。現在はイタリア、ポーランド、インドネシアなど、5ヵ国からの留学生も在籍している。「国内外のトップレベルの大学から学生が集まるのが特色」と佐藤教授。本学の理念の一つ「門戸開放」をもじって「内にも外にも門戸全開の研究室だ」と笑顔だ。

 研究室の歴史は古く、1922年の法文学部創設とほぼ時を同じくして誕生した。「初代教授を務めた村岡典嗣(むらおか・つねつぐ)の実証的な学風が、今の学生たちにも息づいている」と話す。過去の思想を直接教訓とするのではなく、歴史的な視点から客観的に捉えていくこと。村岡典嗣が築いた、本学の日本思想史研究のスタイルだ。

 さらに、佐藤教授は「日本思想史はほかの学問を巻き込んでいく学問」と話す。歴史学や文学、宗教学、考古学などの隣接分野が扱ってきた資料と研究成果を生かし、過去の精神世界を大きなスケールで再現していく。「村岡先生の学風を引き継ぎながら、伝統に縛られずどこまで飛躍できるか」と、学生へ問いかける。

 現在、佐藤教授は率先して日本思想史の国際化に取り組んでいる。「日本を知らない人が触れても面白いと思う研究を模索したい」。幽霊やゆるキャラなど人々が興味を持ちやすいテーマにも目を向け、研究のすそ野を広げていく。

 現在、本学の文系8部局が共同で「日本学国際共同大学院」の設立を目指して準備している。海外の大学と大規模に連携して、日本に焦点を当てた「日本学」の研究・教育を行う機関だ。佐藤教授は共同大学院で「日本思想史が『日本学』の中心を担いたい」と意気込み、「海外の学問分野に切り込んでいける、世界に通用する若者を育てる研究室にしていく」と語る。

 「自分が思想史だと思うものが思想史」が日本思想史研究室のスタンス。聖徳太子から近代スポーツまで、関心に沿ってテーマを設定し、自由な研究をモットーにしている。「学問に対して野心的であれ」。佐藤教授は日本思想史を研究している学生に常にそう呼びかけている。

 今、東北大を志望している受験生に向けて、佐藤教授は「日本思想史は冒険できる学問だ」と紹介する。自身の関心に基づいて問題を掘り下げ、誰も気づいていない発見をすることが研究の醍醐味だ。また、「大学での勉学はそれまで知らなかった自分を見つけられる」と前置きし、「学問を通じて人間としても大きくスケールアップできることを実感してほしい」とエールを送った。

0 件のコメント:

コメントを投稿