2017年2月25日土曜日

【受験生応援企画】我が身省み凧揚げる ~受験生への願い空へ~

 「大学合格はゴールではない。スタートである」。よく耳にする言葉だ。受験勉強の苦難を乗り越え、ようやく手に入れた将来への切符。切符は持っているだけでは意味が無い。電車で目的地へ向かうためにあるのだ。今東北大学で試験と格闘している受験生たちよ、合格が決まったあかつきには、合格自体を喜びつつも、ぜひこれからの大学生活に思いを馳せてもらいたい。




 さて、筆者は切符を手に入れてから丸2年が経とうとしている。筆者は入学当初は「留学駅」「インターン駅」「意識高い駅」などを乗り継いでいく予定だった。しかしなぜか「ウェイ系サークル駅」の前で分岐器が作動してしまい、「麻雀駅」に着いてしまったのが運の尽き。「ゲームセンター駅」や「1限必ずサボる駅」に停車しているうちにこんなにも時間が経過してしまった。このままでは特別快速「留年駅」行きに乗車しかねない。桃太郎電鉄のキングボンビーすら哀れみの目を向けそうな結末には耐えられないし、受験生には筆者に続かず輝かしい将来を過ごしてほしい。筆者の思いは一陣の風となって舞い上がり、受験生のすき間をさながら神の祝福のように吹き抜けていった――

 ――とはならない。現実は非情である。受験日から合格発表までは20日弱しかない。祈りや願いに頼ってはいられない。ならばこの思い、自らの手で舞い上がらせてみせようぞ。というわけで、思い立って「凧揚げ」をすることにした。凧に受験生への思いを込め、大空へいざ放たん。

 ゴミ袋を凧の形に切り取り、形状を維持するための骨組みには真っ赤なストローを使用。風にたなびく2本の尻尾をあしらい、風神雷神の顔もにやけるチャーミングな顔を書き入れれば完成だ。こうして生命を吹き込まれた凧「受かった郎」。「合格」と書かれたハチマキを付ける熱心さと、「受かれ!」「己を突き通せ」などの応援メッセージを入れ墨として顔に入れるクールさを兼ね備えた彼ならば、筆者の思いを完璧に受験生に届けてくれるに違いない。

 早速部員2人と連れ立って、東北大学内の萩ホール前にある広場にて凧を揚げてみる。風は十分。彼も早く飛びたいとうずうずしている。「せーの」で凧を離すと彼はぷかぷかと空中で浮いている。最初こそうまく凧を揚げるのに苦労したが、そのうち気持ちよさそうに大空へ羽ばたいていった。「飛んだ! 飛んだぞ! アハハ!アハハハハ!」。筆者も彼と心を通わせて無邪気に楽しむ。風が予想以上に強く、彼の顔はクシャクシャになっている。警備員さんには白い目で見られる。部員2人は筆者が幼稚園児のようにはしゃぐ姿を見てなぜか渋い顔をしている。「君らもやろうよ」「いや、いいです」つれないなあ。

 それでもトンビのように悠々と空を飛ぶ彼を見て、筆者の思いは届くと確信した。受験生よ、本当に大切なのは人生を心から楽しむことだ。自分で進むと決めた駅に楽しみながら向かっていけば、輝かしい将来はおのずから手に入る。来年の4月、君たちと会える日がとても楽しみだ。

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